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水上安全法(普通科)講習会リポート

平成9年8月8日(金)から12日(火)までの5日間日本赤十字社埼玉県支部主催の水上安全法(普通科)講習を受講しました.

場所は県消防学校(埼玉県吹上町),費用は教材費として1,000円,受講料は無料でした.

水の事故から人命を守るため「水の事故防止」「溺者の救助・運搬」「人工呼吸と応急処置」などについて実技を中心に受講しました.最終日は全日程参加者に終了証,検定(実技と筆記)に合格すると適任者証(5年間有効)と水上安全法(高等科)講習会(指導員養成講習)への受講資格が得られます.

ネクトンズ読者のみなさんは泳力に長けていますので安心ですが,万一事故に遭遇した時,知識があれば冷静な判断と沈着な対応が可能ですし,又,一人で総て対応するには限界があります.自分が直接行動しなくても協力者に指示・補助等の依頼ができます.

せっかく貴重な日数を費やして受講するなら検定に合格したいと思いましたので余計なお節介ですが実技を中心にリポートします.詳細な泳法は省略し検定に出題されたものを記述し,筆記検定の出題内容については後日報告させてください.

最初は,個別に行う泳法と注意するポイントです.
横泳ぎ 煽り足(あおりあし)で左右25メートル計50メートルです.伸びを十分に取ってストローク回数を少くすることです.
逆煽り 煽り足(あおりあし)と受け足を逆にした横泳ぎで25メートルです.溺者の水上運搬に必要となります.
潜水潜行 プールの壁を蹴らずに潜水し25メートルの潜行です.水底を這うように進むと楽です.
立泳ぎ 巻き足で20分間両手を前方に伸ばして体がブレない状態を保ちます.この立泳ぎは慣れない泳ぎですから膝を痛める危険があります.
顔上げクロール 前方を注視して25メートルです.この泳ぎは溺者へ接近するとき必要です.
200メートルの泳ぎ 背泳ぎを除く好きな泳ぎを二つ選択して,一泳法につき100メートルで計200メートルです.競泳ではないのでゆっくりと泳ぎ,200メートルをイーブンペースが良いです.

次は,バディを組んで溺者と救助者に別れて行います.一連の流れは溺者発見から順下=>接近=>確保=>運搬(水上と陸上)=>蘇生(人工呼吸)=>医師の指示があるまでです.
溺者発見 これは必ず“溺者発見”と声を発し溺者を指差します.
順下 これは日本泳法の跳び込みです.水面から顔が没せず溺者から目を離さない.
接近 これも溺者から目を離さず顔上げクロールで約10メートルです.
溺者の確保 顔上げクロールで接近し溺者の直近で一旦体勢を整えてから確保します.これは三パターンを練習しましたが検定は背後からの確保でした.
運搬(水上) これも三パターン練習しましたが,検定はヘアーキャリー(溺者の髪の毛を利用)でした.逆煽りで約10メートル移動します.
運搬(陸上) これも三パターン練習しましたが検定は溺者を背負って約3メートルです.
蘇生 人工呼吸(マウスツウマウス)は精巧な人形(レサシ)を使って約三分です.なお心臓マッサージは行いません.応急措置も検定には出ませんでした.

以上が実技検定の概略ですが,これらは十分に練習をしますので,最終日には合格ラインに必ず到達できますし,検定直前に検定の流れに沿って仮検定を行ってくれますので,その時未熟点を指摘され,修正して本検定に臨めました.

最後に反省すべき課題として,基礎泳力です.ある程度の泳力は必要です.次に検定員の目を気にすることです.つまり検定員に見せるということも大事です.たとえ完璧にこなしても,検定員にその通り見てもらえるとは限りません.動作はゆっくりと,あるいは素早く動くとメリハリが出て見た目が良いと思います.そしてバディとの意思の疎通です.バディ同士が溺者役と救助役に交互に分かれて行いますので,溺者役がうまいとそれだけ救助役が引き立ち見栄えが良いわけです.一つ一つの動作を考えながらでなく,感覚でこなすくらいにお互いに練習すべきです.

拙いリポートですが何かの参考となれば幸いです.
田口一男
Copyright(C)1997 TAGUCHI Kazuo.



参考資料 日本赤十字社講習会パンフレットより
水上安全法
水の事故から人命を守るため「水の事故防止」「溺者の救助・運搬」「人工呼吸と応急処置」などについて実技を中心に指導します.
受講対象 受講費用
教本・教材費の実費 1000円
問い合わせ 最寄りの日本赤十字社へ

ニュース28-12 続 (埼玉県 田口さんより)
水上安全法講習会
日本赤十字社埼玉県支部では新年度の講習会要項が発表されたそうです.
問い合わせ 最寄りの日本赤十字社へ

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