東京から南へ約1,000 q。片道25時間30分船に揺られてやっと到着したそこは、グランブルーの海が広がる東京都小笠原村父島です。最近は日本でもドルフィンウォッチングが行われている所がありますが、一緒に泳ぐというのはおそらくここ父島と御蔵島だけではないでしょうか?
父島ではドルフィンスイミングのサービスが数社ありますが、船の大きさ等で選ぶのもいいかと思います。クルーザーで30名以上の所からゴムボートで10名程の所まで。参加者の泳力レベルも様々で、全く泳げない者・スノーケルを使ったことのない者等誰もがイルカと泳ぎたくて気軽に参加していました。その人達にはライフジャケットの着用が義務付けられ、そのため水面で見ることはできますが、水中に潜ることはできなくなります。船のキャプテンから乗船前にスノーケリングの方法やドルフィンスイミングの注意事項を聞き、いよいよ乗船。イルカの群れを見つけに海に出ます。すでに他のサービスの船がイルカの群れと泳いでいる所に遭遇すると、そこに後から我も我もと船が集まって、ちょっとイルカがかわいそうになりますが、それでも見たい・泳ぎたいの気持ちが強いので、合図と共に泳ぎます。私が行ったのは8月中旬でしたので水着でちょうどいい水温でした。水中に入ると姿はもちろんのこと、あの独特なキキキキという声も聞こえてきます。私は先頭の方だったのでイルカの真横で泳ぐことができました。何となく目が合っただけで、とても幸せな気分です。ただもう少し息ごらえが長くでき、イルカの興味を引くような泳ぎ(回転技等)ができたらなと思いました。こっちは必死に体全体をうねらせドルフィンキックで泳ぐのですが、彼等はその尾をほんの少し上下するだけであっという間に行ってしまいます。追ってはいけないと言われていましたが、ついつい後に付いて行ってしまい、船の上からマイクで注意されてしまいました。どこのポイントもイルカに夢中で水深に対する恐怖感は全くありませんでした。透明度がいいのに底が見えない程でしたので20m以上はあったと思います。これらのバンドウイルカは人間を恐れずに比較的近くに寄れます。もう一種ハシナガイルカは警戒心が強く、船の舳先に群れが付き、得意のスピンやジャンプを見せてくれますが、私達が3点セットを付け一緒に泳ぐ態勢を取るとパタッと船から離れてしまいます。それでもなんとかガイドの女の子と共に泳ぎました。やはりバンドウイルカ程近付けませんが、群れを水中で見ることができました。また、イルカの群れを捜している途中でマンタ(オニイトマキエイ)にも遭遇し、ラッキーでした。一緒に行った小笠原リピーターの友人は年々イルカの数が減っていると嘆いていました。こうして私達がイルカを追いかけ回していること自体がその原因のひとつかもしれないと思うと、とても複雑な気持ちになります。
帰りのおがさわら丸乗船前には、ぜひ島寿司のテイクアウトをおすすめします。これはカンパチ、カマス、サワラを醤油に漬込んで、ワサビの代わりにカラシを使った寿司です。島寿司をつまみながら缶ビールで喉を潤し、旅の余韻に浸る、これが最高です!(但し海がベタ凪の時。海洋状況が悪いと食欲もなくなり、ひたすら横になるしかないのです。)
最後になりましたがNektons#50号おめでとうございます。これからもいろいろな情報を私達に提供してください。Nektonsのおかげでたくさんの人と出会い、思い出ができました。藤原さんの大会・イべント参加レポートも楽しみにしています。
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