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四万十川水泳マラソン大会 1996 旅行記

藤原充

今年も四万十川水泳マラソン大会に参加した。今回は遠泳仲間4人での旅だ。この半月ばかり台風が四国に近づかないかどうか気がかりだった。もう心配で心配で。普段はおだやかな四万十川は容易に増水する恐い川でもある。増水で中止となったら旅はどうしようか。

8月2日7:00空港着。7:15 全日空ANA561搭乗手続。B767-200で高知空港へ。わたくしが代表して切符の手配をしたのだが、すべて禁煙席を予約できたので御機嫌である。のどの痛みに悩まされないですむぞ。8:46着陸。高知市に着いて、まずさんご店で特産品のさんごを見る。店のご主人のお話しを聞き、時間をかけてじっくり見ていると、並みの作品は並み、いい作品はやっぱりいいとわかってくる。Picture.(JPEG,12KB)

よさこい祭りが近い。祭りが近いぞという雰囲気がアーケード街にみなぎっている。店頭に、よさこいのしたく引受けますというような表示や鳴子という道具が並んでいる。

連れの連中は路面電車にいろいろな種類があるのを見て驚いている。「ここのチンチン電車はね、世界各地の中古を集めているんだよ」「あとで乗りましょう」

ついでに同行Aさんがハワイのイタリアンレストランのウェイターのためにおみやげを買う。Aさんとは去年のワイキキラフウォーターで知り合った仲間だ。何人かで行ったレストランでウェイターにおもしろおかしいディナーをサービスしてもらったので今年はおみやげをあげようというのだ。

四国の暑さ・日射しの強さに圧倒される。私達はなんだか具合が悪くなってきた。それくらい暑いのだ。11時半だけど、おなかが空いてきたし休もう。「大腸菌O-157などが騒がれていますが生ものには気をつけますか。去年はこの近くでくじらを食べたんですがどうしましょうか。他にもいろいろ定食がありますが」とお伺いを立てると、ああ、くじらを食べるのは好きだと言う人とわたしはあまり好きではないのでかつおが食べたいという返事だったので今年も酔鯨亭に行く。「東京から今着いたんですが何がおすすめかしら」さすが旅慣れた先輩は聞き方が違う。かつおの定食とくじらの一品料理などを楽しむ。

山内容堂の誕生地をみて、国の重要文化財高知城へ登る。立派な石垣、見事な石段だ。そこへ松が映える。肌に押しつけるような直射日光が応える。汗かーかーかいてびっちょんちょんだね。それでも天守閣を上層まで登れば、強い風がびゅーびゅー吹いていて心地良かった。Picture.(JPEG,16KB)

県庁の敷地を通って寺田記念館へ。帰りは路面電車。鉄道ファンではないけれども路面電車って好きだな。学生時代路面電車で通学できるようなところに住めないかと部屋探しをしたことがあったっけ。

16:25 高知駅から南風7号禁煙席(1時間45分)に乗車。車内でシェフィールド世界マスターズに参加したBさんが旅行アルバムを見せてくれた。友達と来れば中村までの旅もあっという間に着くんだなあ。18:10 中村駅着。レンタカーを借りて割烹旅館朝比奈へ。宿で夕食。本日の献立。鮎の塩焼 四万十の川えび青のり天ぷら サザエのつぼ焼 さしみ ウメロ 卵豆腐 野菜盛合せ 酢の物 果物。えびと青のりの天ぷらがうまかった。Picture.(JPEG,16KB)

テレビをつければよさこいの予告が流れる。今月の9〜12日だそうだ。ここはチャンネルが3つしかないとのこと。四国の端まで来たんだねえ。疲れたので早寝。

翌朝上流へレンタカーで走る。沈下橋をいくつか横目で見ながら1時間以上走る。沈下橋は大水の時は水没する。舗装されているが欄干がなく、ただの板を渡したような形状の橋なので、増水した際にも水流を妨げず、また水勢・流木に破壊されずに水没する。水が引けば、何事もなかったかのように渡れるのだ。車が1台通れる幅のシンプルな橋である。あとで数えてみると6つさかのぼって下から7つ目の沈下橋を車ごと渡って川原に駐車した。ここは西土佐村。子供たちが欄干のない沈下橋から川へ飛び込んで遊んでいる。飛び込めないでずっともじもじしている子もいる。私達も飛び込んだり、スノーケリングしたり、私はモノフィンで遊んだりした。川面のすぐ上を鉄道が通っていてトロッコ列車が通った。高知市内のチンチン電車といいトロッコ列車といい乗り物好きには高知県はお勧めだね。Picture.沈下橋(JPEG,14KB)

午後、AさんBさんはカヌー教室に参加した。私は写真撮影とまたまたモノフィン。今回はゴムスポンジのソックスを持参したので足の甲がむけたりしなかった。広い広い水面でモノフィン三昧の一日だった。

帰りにスタート地点の佐田の沈下橋で車を止める。あれあれ、明日の下見をする人がずいぶんいる。これは意外だ。あれあれ、水が多いぞ。今年は水量がやや多い。今年は良い大会になるよと同行者に教える。Picture.四万十の水面(JPEG,13KB)

ホテルへ帰って夕食を取る。魚塩焼 車海老白身やさい天ぷら あわびバター焼 さしみ 野菜の盛合せ 酢の物 果物 そうめん。天ぷら・あわびバター焼がおいしかった。今夜はお祭り。Picture.お祭り(AnimeGIF,95KB)

大会当日の朝。肩にマジックでナンバーを描く。開会式をして専用バスで上流へ移動。橋の上にはやはり報道陣が並んでいる。警察官もすでに立っている。去年は橋の上が混雑していて選手のバスが渡れずスタートが遅れたっけ。速やかに川原に下りてゴーグルを着ける。橋の上から大きな掛け声がかかって記念撮影完了。大会役員の掛け声で気合いを入れる。「えいえいおう」「えいえいおう」10:00 スタート。いっせいに動き出す。泳ぐ者。走り出す者。歩く者。

ウェットスーツ・浮き輪・ゴーグル等の使用は認めるが、足ひれは禁止というのがルール。要するに足ひれ以外はなんでも良いのだが、今日は泳いでいて隣に練習用の四角で硬いプラスチックのスイムパドルを両手につけて泳ぐ選手を見つけた時は笑った。あんなので長距離を泳いで関節を痛めないだろうか。浮き輪は2.5キロの部では結構いるようだ。スノーケルをつける人も多い。ぞうりや足袋を履いたままあるいはひもで腰に密着させて泳ぎ浅瀬で履くという人もいる。

私は過去2回はだしで出場したので今回は主義と趣向を変えて足袋を用意した。これが脱げそうになって困った。水中でめくれて非常に抵抗になる。捨ててしまおうか。いや清流四万十を汚してはいけない。それに足袋を履いた場合のデータとして過去のタイムと比べてみたい。仲間よりうんと遅くてもいいじゃないか。もともと他人と競うのではなく、自分とのたたかいや、水の上の孤独を楽しむためにオープンウォーターをやっているんだから長時間泳げればそれもまたさいわいではないか。

足袋をはいているのでどうもキックのタイミングがおかしい。6ビート・・・2ビート・・・ダブルクロスオーバー・・・。これが合っているようだ。ただし毎回ブレスのためなのか、両足で正確に実施していないので、半ダブルクロスオーバーなのかな。

足袋が抵抗になるし、水を吸って重いし、なんだかどんどん抜かれて行くなあ。私の泳ぎは大変遅いのではないだろうか。どうもパワーが出ないよな。昨日川原で遊び過ぎて力が入らないのか。こりゃあまいった。

水深が浅くなる。どんどん浅くなる。立ち上がって歩く。よろよろ歩く。ちょっと走る。また泳ぐ。ひじに痛みを感じる。あれ、そういえばこの大会に出る度にひじが痛むなあ。そうか、浅瀬で胸の近くまでひじを曲げて水を掻くと私はひじが痛くなるのかな。痛いよ。痛いよ。

ゴールの赤鉄橋が見えてきた。1時間41分24秒の成績でゴール。性別年齢クラス別23位とのこと。ずいぶんゆっくり泳いでしまった。一昨年は1時間26分6秒10位、昨年は1時間32分8秒で14位だった。今日の足袋は失敗だ。足袋はもういらない。履物を工夫してもおもしろいのだろうけど私ははだしのほうがいいや。

お弁当を食べながら閉会式を待つ。閉会式では同行者が遠来賞をもらった。

帰りは、さらに足を伸ばして足摺岬を訪ねる者、龍河温泉へ向かう人など、バス乗り場へひとりを見送り、あるいは駅のホームで別れ手を振るのだった。

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