日本泳法

むかいりゅうとうきょううえのもんかれんらくかい

向井流東京上野門下連絡会

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日本泳法について

 わが国は、四面海に囲まれた国で、河川や湖沼なども多くある意味で水が身近にあり、水と接する機会の多い自然環境があります。この自然環境の中では、自ずと‘泳ぎ’が発生してきたことが考えられます。

 それは、それぞれの環境や地域に応じたものであったり必要や目的に応じたものであったりしながら、人から人へと伝承される‘泳ぎ’となって今日に至るものがあります。

 この伝承されてきた‘泳ぎ’の中で、日本水泳連盟が現在公認している13流派を“日本泳法”と呼称しています。

  1. 向井流
  2. 水府流
  3. 水府流太田派
  4. 観海流
  5. 岩倉流
  6. 能島流
  7. 小池流
  8. 水任流
  9. 神伝流
  10. 主馬神伝流
  11. 山内流
  12. 小堀流
  13. 神統流

 この“日本泳法”は、地域によっては‘無形文化財’に指定されるなど、伝承文化に位置づけられるものでもあります。

 “日本泳法”の成立過程では、武士の嗜みとして発展してきた経緯があります。つまり、戦場での戦闘能力であり身を守る技術としての発展であったことが推測されます。そこでは、あらゆる状況を想定しての技術が必要であったことであり、泳ぐこと潜ること浮くこと飛び込むことが技術的に練磨され、中には水辺での技術として水馬技術や操船技術も含まれて伝承されています。

 そして、この伝承においては、先人の技術は型として、経験的知識は伝書として受け継がれても来ました。

 それぞれの流派固有の型や伝承形態の多くは、江戸期に確立されたようです。したがって、今日の“日本泳法”の中には、この武術的な要素が色濃く残っているとも言えます。同時に、このことから‘泳ぐ’目的が、戦闘を想定させるものであり身を守ることが主であって、現在のスポーツとしての水泳のように他者と競争することに主眼が置かれていません。

 つまり、速さや美しさを絶対的なものと考えず、むしろ技術の修練法や精神性を含めて実用的であることが重要と考えられてきたと捉えられます。

 この実用性の伝承は、地域における自然環境への適応技術や経験的知識の伝授など大切な文化と考えられます。

 現在は、“日本泳法”の認知度が下がってきていますが、この本質とも言える実用性は、日本泳法を実践する者は勿論のこと世に問うべき命題として見失ってはならないことです。

 師上野徳太郎の向井流の教えもこのことに基づいていることは当然です。師の伝承を受け継ぐ者は、意識的にこの認識を後進者にも伝え引き継いでいくことが果たすべき役割と考えます。


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